変形性膝関節症② なぜ膝関節の変形がおこるのか?
今回は、変形性膝関節症でなぜ膝の変形が進むのかについてお話します。
膝関節は大腿骨(ふとももの骨)と脛骨(すねの骨)の間の関節と、
大腿骨と膝蓋骨(膝のお皿の骨)の間の関節から構成されます。
膝関節は滑膜(かつまく)という膜で包まれています。
骨と骨が触れ合う面は、なめらかで弾力性のある軟骨でおおわれています。
この軟骨のおかげで膝は滑らかに曲げ伸ばしができるのです。
また、大腿骨と脛骨の間には内側・外側にそれぞれ半月板と呼ばれるものがあり。
衝撃をやわらげるクッションと関節の位置を安定させるスタビライザーの役割をしています。
この半月板は軟骨を保護する重要な働きがあります。
下図の左は正常な膝関節をあらわしています。
変形性膝関節症(上図の右)では、この軟骨や半月板がいたみ、すり減るために起こります。
また、すり減った軟骨のかけらは滑膜に取り込まれて滑膜炎をおこします。
炎症を起こした滑膜からは多量の関節液が分泌されるために膝に水がたまるのです。
(膝に水がたまることを関節水腫と言います。)
炎症を起こした滑膜からは、さらに炎症を誘発する様々な化学物質が放出され、
軟骨がもろくなりどんどんすり減っていきます。
軟骨はすり減る一方で、その周辺の骨はとげのように飛び出して変形します。
(とげ状に変形した骨を骨棘と言います。)
この骨棘による物理的な刺激も滑膜炎を悪化させる原因となります。
このように、どんどん膝関節の中で炎症が進行して変形性膝関節症が悪化していくのです。