手首の痛み…それって本当に捻挫や腱鞘炎なの?
サッカーをしていたときに後ろ向きに転んで手をついてから、その後から手首が痛いとのことでこられた20代の患者様がいらっしゃいます。
当院に来る前に整骨院で、捻挫や腱鞘炎ではないか?と言われていたそうです。
レントゲン写真を撮ってみると、舟状骨骨折でした。
舟状骨骨折は手首の骨折ですが、見逃しやすい骨折として有名です。
しかし、見逃してしまうと、のちのち骨折している部分がくっつかず、関節のようにグラグラと動く『偽関節』と呼ばれる状態となり、その場合は血管ごと骨を移植するなどの大手術となることもあります。
彼の場合は、すぐに手外科専門医の先生にご紹介させていただき、その後すぐ手術をしていただきました。
手を強く打撲したり、ひねったりするようなことで腱鞘炎にはなりません。
腱鞘炎の原因の多くは手を使いすぎることで起きるからです。
ですが、腱鞘炎と間違えてしまったのはもしかして、あの検査をしたのではないかと思います。
それは、『Eichhoff-Finkelsteinテスト』です。
この検査は、手首の腱鞘炎を診断するためのテストなんですが、実は舟状骨骨折でも陽性(痛みが誘発されること)となります。
他にもCM関節症でもでます。
整骨院では、レントゲン写真がとれないため身体所見のみ(最近はエコーも使っているのかな?)で判断せざるを得ないのですが、知識のある柔道整復師の先生は診断するためのさまざまなテストも知っています。
しかし、〇〇テストで陽性だったから〇〇炎とか〇〇症などの1対1対応の考え方では、見逃してしまう病気もあるということです。
でも、これって患者さんの立場からしたら、実際にからだを触ってもらって、「この検査で痛みがでるからこの病気だね。」などのそれっぽいことを言われたら、たとえその診断が間違っていたとしても信じてしまいますよね。
私も、できるだけ正確な診断ができるように身体所見や検査を組み合わせることで、診断をくだした根拠を明確にできるように努めていきたいと思います。