長引くテニス肘ってつらいですよね…
テニス肘と病院で言われてから、痛みが慢性化して困っている患者様は意外と多いのですよね。
今回はそんなテニス肘に関しての面白い論文を見つけたのでご報告いたします。
『A systematic review on efficacy of different types of Platelet-Rich Plasma in the management of lateral epicondylitis』
Shangzhe Li et al. Journal of Shoulder and Elbow Surgery
この論文では、最近よく行われているPRP療法のテニス肘に対しての効果について述べられています。
というか、まずPRP療法ってなんでしょうか?
PRP療法っていうのは、自分の血液でつくった血小板成分が多い液体(多血小板血漿:Platelet Rich Plasma)を体の痛んでいる部分に注射して、自分がもともと持っている修復力を補助することで、慢性化した痛みを改善させる治療法です。
じつは、血小板には「血液を固めるはたらき」だけではなく、「組織の修復を促す成長因子を出すはたらき」もあるんですよね。
さて、このPRP注射には、白血球が多めに含まれたものと少なめに含まれたものの2種類があるのですが、
この論文ではいずれの種類においても治療効果に差はなかったということが述べられています。
いいかえると、どっちも「テニス肘に効果があった」ということですね。
PRP療法自体には賛否ありますが、個人的にはテニス肘のような「筋肉の付着部の炎症」(つまり付着部炎:enthesopathy)には効果が期待できるのではないかと思っております。
付着部炎は、筋肉が骨にくっつくかなり限られた場所での炎症です。
骨と腱(筋肉の端)の境目であり、構造的に非常にもろいのです。
だから、ささいなことで炎症がおこりやすく、しかも慢性化しやすいのですよね。
そんな付着部にPRPを注射することで、最初は強めの炎症が起こるのでしょう。
そのことにより、慢性化してなおるのをあきらめた部位が、再度なおり始めるきっかけを得るのでしょう。
だから、最初に一時的な痛みが増えるけども、時間とともに痛みを減らしてくれるというデータと結びつくんだと思います。
残念ながら、このPRP療法は保険がきかず自由診療となるためにどこの病院でもできるわけではないし、病院によって値段が数万から数十万とさまざまですが、ずっと、病院で同じ薬や痛み止めの注射を打ち続けてもなかなか良くならない人は、試してみてもいいかもしれないですね。
こんだけいろいろと述べていますが、当院には、まだPRP療法は導入しておりません。m(_ _)m